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猫は培養肉のおやつを食べる?40匹の嗜好性テスト結果と分からないことを解説するイメージ
公式情報等を基に調査

猫は培養肉のおやつを食べる?40匹の嗜好性テストと分からないこと

先に結論

培養マウス細胞を使った猫用おやつを40匹で食べ比べ。17対19匹という結果と、長期安全性・栄養完全性を示さない試験の限界、企業の利害関係を解説します。

肉を得るために動物を飼育する代わりに、動物の細胞を培養して食品原料をつくる技術があります。人向けの食品で話題になることが多いものの、海外ではペットフード用の開発も進んでいます。

2026年10月13日、米業界メディア Pet Food Processing は、BioCraft Pet Nutritionが開発した、培養したマウス由来の細胞を原料に使う猫用ペースト状おやつの嗜好性テストについて報じました。

結果は猫40匹のうち、BioCraft側をより多く食べた猫が17匹、比較対象の市販品を多く食べた猫が19匹、同量だった猫が4匹でした。ここから何が分かるのでしょうか。

この記事は海外企業の発表を業界メディアが報じた内容を整理した調査記事です。筆者は商品を使っておらず、日本での販売も確認していません。査読付き論文で安全性や栄養面の効果が立証されたという記事ではありません。広告・アフィリエイトリンクが掲載される場合があります。

今回の40匹の試験は嗜好性テストであり、長期安全性・栄養完全性を示す試験ではありません。

比較されたのはどんなおやつ?

BioCraft Pet Nutritionは、動物細胞の培養によるペットフード用原料の開発企業です。今回の製品は、マウス細胞を培養して得た原料に、同社が説明する動物由来ではないほかの原料を組み合わせた舐めるタイプのおやつです。

比較対象は、海外で販売される「Applaws Chicken Creamy Lickable Treats」。したがって、培養細胞を原料に使った試作品と、すでに売られている市販のおやつの食いつきを比べたテストです。

企業が説明する「ready-to-market(市場展開の準備が整った)」という表現は、そのまま日本で購入できることや、日本の規制上の販売条件を満たしていることを意味しません。2026年10月17日時点で、日本国内の正式な販売開始日・販売価格は確認できていません。

猫40匹の結果は17対19、4匹は同量

報道によると、ドイツの市場調査会社Regionales-Produkt-Panel(RPP)がテストを実施しました。RPPの従業員が自分の猫に、2種類のおやつをそれぞれ30gずつ並べて提供し、食べた量や最初に口をつけた方を確認したとされています。

評価内容 結果
対象 猫40匹
BioCraft側を多く食べた 17匹
Applaws側を多く食べた 19匹
両方を同量食べた 4匹
最初に口をつけたおやつ それぞれ20匹
企業が紹介した統計結果 全体の好みに統計学的に有意な差は認められなかった

この結果だけを見ると、「猫が培養細胞由来の原料を含むおやつを食べた」ということは分かります。一方、17対19という結果は、培養細胞のおやつが市販品よりおいしい証拠ではありません。

また、統計学的に有意な差がなかったことと、両商品が完全に同じ嗜好性であると科学的に証明されたことも別です。正式な「同等性」を検証するには、あらかじめ許容差を決めた試験設計などが必要です。

このテストで分からないこと

長期的な安全性

今回の報道は味の好みを中心に説明しています。継続的に食べたときの安全性や、アレルギー・消化器症状を長期追跡した結果を示すものではありません。

主食としての栄養バランス

対象はおやつです。おやつを食べるかどうかと、猫が必要とする栄養素をすべて満たす「総合栄養食」として使えるかどうかは別です。タウリンなど猫に必要な栄養設計が整っているか、今回の試験では判断できません。

すべての猫に受け入れられるか

40匹という対象数は大規模な代表標本ではありません。調査会社従業員が飼う猫が対象で、年齢、既往歴、食経験などの偏りを完全に排除できたとは分かりません。試験の手順や統計解析の詳細を独立して確認できる査読付き論文も、今回参照した記事からは確認できませんでした。

企業との利害関係

テストは外部の調査会社が実施したと報じられていますが、結果を対外発表しているのは製品の開発・事業化を進めるBioCraft自身です。外部機関による実施と、企業に商業的利益があることは両立します。試験資金の詳細や第三者による再現性評価が明らかになるまでは、企業発表のデータという位置づけで読むのが適切です。

動物細胞を使う技術は、猫の食事をどう変える?

ペットフード業界では、動物性タンパク質の供給、資源利用、品質管理といった点から代替原料が研究されています。培養細胞由来の原料もその候補の一つです。

ただし、開発段階で猫がおやつを食べたからといって、「通常のお肉より健康によい」「安価になる」「環境負荷が必ず小さい」といった効果が確定したわけではありません。製造工程、電力使用量、完成品の栄養組成、安全管理、価格など、それぞれの根拠が必要です。

日本で発売される製品を選ぶ際は、まずその商品が総合栄養食・間食などのどの区分かを確認することが基本です。関連する確認方法は既存記事キャットフードの選び方|総合栄養食とライフステージを確認にまとめています。また猫用おやつ「じゅわりと」6品の比較では、日本で販売されるおやつの量や表示を確認しています。

まとめ|食べた事実と健康への評価を分ける

BioCraftが紹介した40匹の試験では、培養したマウス細胞を原料に含むおやつを選ぶ猫が一定数いたことが分かりました。一方で、市販品より好まれることも、長期安全性・栄養的な優位性も証明していません。

日本での商品化や栄養分析、透明性の高い安全性データなど、次の情報が公開された段階で評価を更新する価値があるニュースです。

出典・確認元

原料・企業情報:BioCraft Pet Nutrition公式サイト(原料の説明を確認。40匹試験の詳細は下記の企業発表に基づく報道を参照)

内容確認日:2026年10月17日。記事に引用した40匹の嗜好性試験は企業が報告したテストであり、猫用医薬品の臨床試験でも、主食としての栄養試験でもありません。

執筆:家主/海外記事と公開資料を基に調査

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