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都市の路地で地域猫4匹を離れて観察・記録する様子を描いたAI生成イラスト
公式情報等を基に調査

地域猫TNRは手術数だけで測れない|ソウル8年調査の結果

先に結論

地域猫TNRの効果は手術数だけで測れません。ソウル17地点の2017〜2025年研究から、観察数21.9%減、子猫数、不妊去勢率、見かけの定着率と、因果関係を断定できない限界を解説します。

結論:地域猫のTNRを評価するとき、手術頭数だけでは十分ではありません。2026年9月23日公開のソウル市の長期研究では、2017〜2025年に同じ17地点を繰り返し調べ、観察された猫の総数、不妊去勢率、子猫の割合、同じ場所で再確認できた個体の割合を組み合わせました。平均観察数は334匹から261匹へ21.9%減り、子猫数は統計的に有意な減少傾向を示しました。

ただし、成猫数の年次減少は統計的有意に届かず、TNRを行っていない対照地区もありません。したがって「TNRだけで猫が21.9%減った」とは言えません。研究が示した実用的なポイントは、地域ごとの不妊去勢率、子猫の出現、新しく見かける猫、再確認できる猫を継続して記録し、譲渡・遺棄防止・給餌と排泄物管理・住民との調整を合わせて考えることです。

この記事は2026年9月23日時点の原著論文と日本の公的資料を基にした調査記事です。ソウルの制度・数値を日本の地域へそのまま当てはめるものではありません。捕獲、不妊去勢手術、元の場所への復帰、保護・譲渡は、自治体、動物病院、地域の関係者へ相談し、その地域のルールと猫の状態に従ってください。

広告・アフィリエイトについて:本記事にはAmazon等の商品リンク、価格、購入ボタンはありません。研究は捕獲器、フード、見守りカメラなどの市販品を比較していないため、特定商品を推奨しません。

この研究の価値は、単純な「何匹手術したか」から一歩進み、地域の猫集団がどう変わったかを複数の指標で追った点です。同時に、観察研究なので因果関係を断定できないという境界も明確です。

2026年9月23日公開、ソウル17地点の8年調査

原著はFrontiers in Veterinary ScienceのAnimal Behavior and Welfare部門で、2026年9月23日に公開されました。対象は韓国・ソウル市内の固定した17調査地点です。2017、2019、2021、2023、2025年に、各地点を各年5回以上訪れました。

調査は猫を捕まえず、写真と毛色、模様、顔つき、尾の形、傷などを使って個体を見分ける観察方式です。研究の期間中にソウル市では公費によるTNR事業が続いていましたが、この研究自体が猫へ手術を割り付けた実験ではありません。

まず押さえたい4つの指標

指標 研究での意味 読み違えに注意する点
観察数・密度 同じ場所、同じ方法で見えた猫の相対的な変化 街にいる全猫の絶対数ではない
不妊去勢率 観察した猫のうち耳の印で手術済みと判断した割合 市全体の手術件数とは異なる
子猫の割合 観察集団で繁殖が続いている程度を考える指標 保護・移動・見落としにも左右される
見かけの定着率 前の調査期の個体を同じ地点で再確認した割合 生存率や本当の定住率そのものではない

研究者が強調したのは、1つの数字だけで判断しないことです。手術件数が増えても、同じ地域で未手術の猫がどの程度残っているか、子猫が増えていないか、新しく現れる猫が多くないかを見なければ、集団の変化は分かりません。

平均観察数は334匹から261匹へ減少

17地点を合わせた記述的な平均観察数は、2017年の334.0匹から2025年の261.0匹へ減りました。8年間で21.9%の減少です。年率へ単純換算した記述値は約3.0%の減少でした。

ここで重要なのは、「観察された平均数」の変化だということです。研究は都市全体の全個体を数えたわけではなく、固定地点を同じ季節と手順で繰り返し観察し、長期的な方向を比較しました。

成猫数の減少傾向は統計的有意に届かなかった

地点ごとの繰り返しを考慮したモデルでは、成猫数は年ごとに減る方向を示しましたが、IRRは0.9676、95%信頼区間は0.9343〜1.0021、p値は0.0656でした。一般的な有意水準0.05を下回っていません。

したがって「成猫が確実に年3.2%減った」と断定するのは不適切です。方向としては減少でも、変化なしを含む範囲でした。総数の21.9%減という記述値と、成猫モデルの不確実性を分けて読む必要があります。

子猫数は年ごとに有意な減少傾向

子猫数のモデルでは年のIRRが0.7711、95%信頼区間0.7022〜0.8468、p値は0.001未満でした。研究者は、観察された子猫数が年ごとに約22.9%減る推定に相当すると説明しています。

一方で、子猫の割合は保護・譲渡、移動、観察時刻、繁殖時期にも影響されます。この数字を「TNRだけの効果」や「子猫がいなくなった証明」とは扱えません。地域の繁殖状況を追う重要な指標の一つです。

不妊去勢の推定確率は14.0%から60.3%へ

モデルで推定した不妊去勢の確率は、2017年の14.0%から2021年42.7%、2023年66.5%へ上がり、2025年は60.3%でした。2025年には少し下がっており、一度上げた地域内のカバー率を維持する難しさも見えます。

市全体の年間手術数は事業への投入量を示しますが、特定の地域でどれだけの猫が手術済みかは示しません。分母となる地域の猫数が分からなければ、1万件という手術数だけで地域の繁殖抑制を評価できないという整理です。

同じ場所で再確認された猫は「生存確認」とは限らない

基準時に不妊去勢済みだった猫は、未手術だった猫より次の調査期に同じ地点で再確認されるオッズが3.06倍でした。95%信頼区間は2.07〜4.53で、年齢区分、土地利用、調査期間、地点差を調整した結果です。

ただし、研究者はこれを「見かけの定着率」と呼びました。再確認できない猫は、死亡したとは限りません。移動した、別の時間に現れた、観察者が見落とした可能性があります。不妊去勢が猫を3倍長生きさせる、必ず同じ場所に残すという結果ではありません。

1回の観察で見つかる確率は約29.9%

少なくとも一度確認された個体の記録から推定した、1回の訪問での検出確率は29.9%でした。5回訪問した場合でも、年別推定では約12.1〜22.0%の猫が一度も見つからない可能性が残りました。

この結果は、1日歩いて見た頭数を地域の全頭数と扱えない理由を示します。同じ時間帯、同じ範囲、同じ記録方法で複数回見ることが、変化を比べる最低条件になります。

安定地点と不安定地点の比較は探索的な結果

2023〜2025年の選択地点 不妊去勢率 子猫割合 見かけの定着率
比較的安定した4地点 77.5%→90.9% 5.0%→0.0% 47.1%
不安定さが見られた3地点 67.2%→31.1% 2.4%→27.8% 22.3%

この7地点は、変化が目立つ場所を後から選んだ探索的比較です。高い不妊去勢率と子猫の少なさが同時に見られたものの、ランダム化した比較ではありません。給餌場所、世話人の活動、食べ物の入手、遺棄、移動、保護・譲渡などの違いが影響した可能性があります。

研究が「TNRの因果効果」を証明していない理由

限界 起こり得る影響 安全な読み方
未処置の対照地点がない TNR以外の変化と分けられない 因果ではなく同時に起きた変化として読む
都市の猫集団は出入りする 遺棄・移入・保護で頭数が変わる 新規個体と再確認個体も記録する
観察は日没前 夜に活動する猫を見落とす 絶対数ではなく同じ方法の相対変化を見る
土地利用の地点数が偏る 住宅地と他地域の差を捉えにくい ソウル全域・日本全国へ一般化しない
市の事業と研究資金の関係 制度背景を考慮する必要がある 方法・限界・データを併せて確認する

研究チーム自身も、TNR単独を十分または効率的な対策と表現すべきではないとしています。長期の地域管理の中で見られた構造変化を記録した研究であり、どの街でも同じ方法・同じ割合なら同じ結果になるという処方箋ではありません。

先行研究も「範囲・強度・継続」を重視

2022年の12年間の対照付き研究では、連続した区域で70%を超える高い不妊去勢率を達成した場合に個体数減少が見られました。同時に、繁殖や生存の反発的な変化が減少を弱める可能性も示されました。

この結果も、単発の手術や散発的な地域で同じ効果を保証しません。どの範囲を対象にし、何割をカバーし、外から入る猫や遺棄へどう対応し、何年追うかが重要です。

東京の2年調査では減少率の差を示せなかった

2020年に公表された東京都内の研究は、地域猫活動がある地区とない地区を2年間調べました。地域猫活動のある地区は推定猫数が少なかった一方、2地区の個体数減少率には差がありませんでした。健康状態の悪い猫の割合は活動地区で低いという結果もありました。

ソウル研究と東京研究は、期間、地区数、制度、測定方法が異なります。結果を勝ち負けのように比べるのではなく、頭数だけでなく猫の状態、移入・消失、地域活動の内容も見る必要があると理解する材料になります。

住民参加は手術とは別の評価軸

2024年の系統的レビューでは、非致死的な猫の個体群管理と住民参加を扱った研究を整理し、教育や譲渡など複数の参加が報告された事例を検討しました。ただし対象研究は少なく、地域も限られ、参加度の測り方も単純だったとされています。

住民説明をしたから必ず成功する、譲渡を加えれば一定割合で減る、という定量的な保証ではありません。それでも、地域猫活動が手術をする人だけの作業ではなく、情報共有、餌と排泄物の管理、遺棄防止、保護・譲渡、苦情への対応を含むことを確認できます。

日本では自治体と地域のルールが出発点

東京都は、飼い主のいない猫を排除するのではなく地域の問題として捉え、不妊去勢後に適切な給餌、食べ残しとふんの清掃を行う取組を案内しています。横浜市のガイドラインも、住民の理解、実態把握、役割分担、給餌、清掃、不妊去勢、譲渡を一体で扱います。

制度名、補助、登録条件、捕獲器の貸出し、協力動物病院、耳の印の方法は自治体で異なります。SNSの一般論や海外研究を先に実行手順へ変えず、まず市区町村の動物愛護・生活衛生担当へ相談してください。

相談先を選ぶときの確認7項目

  1. 自治体の担当窓口か。補助制度、登録条件、対象区域、相談記録の扱いを確認します。
  2. 地域の合意形成を扱うか。世話をする人だけでなく、困っている住民への説明方法も必要です。
  3. 猫の台帳を作るか。毛色、特徴、写真、最終確認日、手術・保護・譲渡の状況を重複なく管理します。
  4. 獣医療の判断経路があるか。手術の適否、けが、授乳、妊娠、術後観察は獣医師が判断します。
  5. 給餌と清掃のルールがあるか。置き餌を残さず、排泄物と周辺環境を管理できる体制を確認します。
  6. 子猫・人慣れした猫の方針があるか。保護、譲渡、元の場所での管理を猫の状態ごとに検討します。
  7. 半年・1年後も測るか。手術頭数だけで終わらず、未手術率、子猫、新規個体、苦情を追います。

活動を始める前の確認に、動物愛護週間に見直す猫の適正飼養7項目も参考になります。飼い猫の逸走・未手術・遺棄を減らすことも、地域へ新しい猫が入るのを防ぐ重要な部分です。

地域で記録したい最小セット

記録 目的 個人情報・安全上の注意
猫の写真と外見 同じ猫を二重に数えない 住宅、顔、車両番号を不用意に公開しない
確認日・時間帯 観察条件をそろえる 夜間の単独巡回を無理にしない
手術済みの目印 未手術候補を把握する 外見だけで医療履歴を断定しない
子猫と新規個体 繁殖・流入の変化を見る 場所を不特定多数へ拡散しない
保護・譲渡・死亡・不明 「見えなくなった理由」を可能な範囲で分ける 推測を確定情報として記録しない
給餌・清掃・苦情 生活環境と活動負担を評価する 対立相手の氏名を公開しない

個体の正確な居場所を公開すると、遺棄、いたずら、過剰な給餌につながるおそれがあります。研究でも生の写真、GPS座標、コロニーや給餌地点は公開されませんでした。記録は活動に必要な範囲で共有します。

捕獲器やフードを先に買わない

今回の研究は、捕獲器、見守りカメラ、猫用フード、トイレ用品、消毒用品の性能を比較していません。地域や団体によって貸出し、指定方法、衛生管理、保管場所が異なります。商品を買う前に自治体と協力団体へ確認したほうが、重複や不適切な利用を防げます。

本記事ではAmazon商品、ASIN、価格、在庫、購入CTAを掲載しません。未使用の器具を実体験のように紹介せず、捕獲方法や手術前後の具体的な扱いも一般向けに一律案内しません。

病気・けが・子猫は一律にTNRへ回さない

衰弱、出血、呼吸困難、交通事故が疑われる猫、授乳中の母猫、小さな子猫では、一般的な活動予定より緊急性と個体の状態を優先します。自分で薬を与えたり、人用薬を使ったりせず、自治体や動物病院へ連絡してください。

不妊去勢の可否、時期、麻酔、術後管理は獣医療判断です。海外の体重条件や時期を日本の全自治体・全個体へ共通の基準として書き換えることはできません。

飼い猫を外へ出さないことも地域対策

地域猫の問題を屋外の猫だけへ押し付けると、新しい流入を見落とします。飼い猫の室内飼育、迷子対策、不妊去勢、所有者情報の更新、終生飼養、脱走時の早い捜索は、地域の猫集団を増やさないための土台です。

屋外生活から室内へ移す判断を考える場合は、外で暮らしていた猫を室内へ移した研究もご覧ください。個体差に配慮し、環境を段階的に整える必要があります。

寄付・支援は活動報告を確認して選ぶ

自分で捕獲や給餌ができなくても、登録団体への寄付、預かり、譲渡広報、物資支援などの関わり方があります。支援前に、対象地域、会計、手術・保護・譲渡の報告、個体情報の保護、解約や停止方法を確認します。

保護猫スポンサーを選ぶ前の確認点では、支援方法と手数料、活動報告の見方を整理しています。TNRと保護猫支援は同じではありませんが、継続性と透明性を見る考え方は共通します。

この研究から地域が学べること

手術頭数中心の見方 研究が提案する見方
年間に何件実施したか 定めた地域で何割が手術済みか
今見える猫が何匹か 同じ条件での相対変化と見落とし
合計が減ったか 子猫、新規個体、再確認個体も変わったか
TNRだけを評価する 譲渡、遺棄防止、清掃、住民参加も確認する
市全体の数字で判断する 支援が必要な地点を細かく見つける

研究は、予算や活動を手術件数だけへ結び付けるのではなく、地域内のカバー率、子猫の割合、個体の入れ替わりなどを併せて評価する考え方を示しました。これは特定のTNR手順を勧めるというより、活動の成果をどう測るかという提案です。

まとめ:頭数・子猫・流入を長く追う

ソウル17地点の2017〜2025年調査では、平均観察数が334匹から261匹へ減り、子猫数は有意な減少傾向、不妊去勢率は大きな上昇を示しました。ただし成猫数の減少は統計的有意に届かず、未処置対照地点もないため、TNRだけの因果効果は証明していません。

地域猫活動で重視したいのは、手術件数の達成だけではありません。地域内の未手術率、子猫、新しく現れた猫、再確認できた猫、保護・譲渡、給餌と清掃、苦情を同じ方法で追い、必要な場所へ支援を集中します。

日本で実際に取り組む場合は、市区町村の窓口、地域住民、協力団体、動物病院と役割を決めてください。猫を見つけた個人が海外研究だけを根拠に捕獲・手術・復帰を進めるための記事ではありません。

FAQ

TNRをすれば地域猫は必ず減りますか?

必ずとは言えません。今回の研究は減少方向の変化を観察しましたが、未処置対照地点がなく、遺棄、移入、保護・譲渡、給餌環境などの影響を分けられません。範囲、カバー率、継続、補完策で結果が変わります。

21.9%減はTNRの効果ですか?

固定17地点の平均観察数が334匹から261匹へ減った記述値です。TNRだけが原因だと証明した数字ではありません。成猫数のモデル上の減少は統計的有意に届きませんでした。

何割を不妊去勢すればよいですか?

ソウル研究だけから日本の全地域に共通する目標値は決められません。先行研究には連続区域で70%超を扱った例がありますが、制度、流入、地域の広さが異なります。自治体と専門家が地域データから計画します。

耳がカットされていれば必ず手術済みですか?

活動上の目印として使われますが、方法や左右は地域で異なり、外傷との見分けが必要な場合もあります。外見だけで医療履歴を断定せず、地域の台帳や担当者へ確認してください。

地域猫へ餌をあげるだけでも支援になりますか?

置き餌や食べ残し、ふん尿の放置は生活環境の問題と新たな対立につながります。日本の公的案内では、不妊去勢、時間を決めた給餌、片付け、排泄物管理、住民合意を組み合わせます。

見つけた猫を自分で捕まえてよいですか?

所有者の有無、地域制度、捕獲と運搬の安全、手術予約、術後管理を先に確認する必要があります。自己流で進めず、市区町村の動物愛護・生活衛生窓口や登録団体、動物病院へ相談してください。

出典

アイキャッチはAI生成のイメージイラストです。実際の商品・飼育環境の写真ではありません。

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